いままで見てきたシステム思考の見える化ツールは単独でも使えますが、それぞれの関連を知っておくと課題の理解に役立つでしょう。氷山モデル、水槽モデルの「フローとストック」、時系列変化パターンの関連を説明します。
おさらい
図1は、前回(ブログS-06)の人口減少の課題設定の時系列変化パターンです。
その意味は次のとおりでした。
このまちは10年前からずっと人口が減り続けている ~過去の事実
このまま行くと5年後も減っていく ~人口推計データなどによる
そこで新しい政策で、5年後の減り方を押さえ、~短期の課題設定
長期的には、人口が均衡するようにしたい ~長期の課題設定(ビジョン)
図2は、図1の人口減少の課題設定の時系列変化パターンと関連づけた、水槽をつかったストックとフローです。図の意味はつぎのとおりです。
ストックは年度末の人口
インフロー(流入)は一年間の出生と転入
アウトフロー(流出)は一年間の死亡と転出
あとから判る氷山モデル
人口減少の事例の氷山モデルは、簡単に書けません。
この点、S-02 氷山モデル~Aさんの風邪ひきの事例とはおおきな違いです。
こういった場合は、時系列変化パターンとストックとフローを先に求めて、あとから氷山モデルをつくり上げることができます。(図3)
として見える現在の人口 =時系列変化パターンの現在の人口 =水槽のストック(人口)
氷山モデルの行動パターン =時系列変化パターンの10年前~現在~5年後の人口
氷山モデルの構造 =水槽のインフロー(人口増数)とアウトフロー(人口減数) =ループ図(※)でインフロー(人口増数)とアウトフロー(人口減数)の因果関係を明らかにする (※ブログ08にて)
このように、氷山モデルと時系列変化パターンと水槽モデルを関連付けてイメージすることで、より本質に迫った深みのある課題設定ができます。
具体的には、水槽モデルのフローに相当する、よくする力と悪くする力を適切に把握することで、システムの診断図となるループ図(ブログ08にて)へとつながっていきます。
まとめ
いままで見てきたシステム思考の見える化ツールは単独でも使えますが、それぞれの関連を知っておくと課題の理解に役立つでしょう。
Noriaki Gentsu@NorthQuest
参考文献:
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎
システム思考教本 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎
世界はシステムで動く 英治出版 ドネラ・H・メドウズ、枝廣淳子訳
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