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源津 憲昭/NorthQuest

S-07 いままでのモデルを関連付けて


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氷山モデルと時系列変化パターンと水槽モデルを関連付けてイメージすることで、より本質に迫った深みのある課題設定ができます。 具体的には、水槽モデルのフローに相当する、よくする力と悪くする力を適切に把握することで、システムの診断図となるループ図へとつながっていきます。

いままで見てきたシステム思考の見える化ツールは単独でも使えますが、それぞれの関連を知っておくと課題の理解に役立つでしょう。氷山モデル、水槽モデルの「フローとストック」、時系列変化パターンの関連を説明します。




おさらい


図1は、前回(ブログS-06)の人口減少の課題設定の時系列変化パターンです。

その意味は次のとおりでした。

  • このまちは10年前からずっと人口が減り続けている ~過去の事実

  • このまま行くと5年後も減っていく ~人口推計データなどによる

  • そこで新しい政策で、5年後の減り方を押さえ、~短期の課題設定

  • 長期的には、人口が均衡するようにしたい ~長期の課題設定(ビジョン)


fig-1
図1ー時系列変化パターン |課題について判っていることを5つの要素に整理してグラフ化します。➀縦軸の変数は着目する量(定性も可) ②横軸は時間軸:過去(推定)~現在~将来(目標達成時) ③過去から現在までのおよその動き ④予想される将来の動向 ⑤変えたい将来の動き


図2は、図1の人口減少の課題設定の時系列変化パターンと関連づけた、水槽をつかったストックとフローです。図の意味はつぎのとおりです。

  • ストックは年度末の人口

  • インフロー(流入)は一年間の出生と転入

  • アウトフロー(流出)は一年間の死亡と転出

fig-2
図2-ストックとフロー 水槽に流入するインフロー、水槽から流出するアウトフロー、ある期間のこのふたつの量の変化に応じて水槽の水量がストックとしてたまる。インフローとアウトフローは、システムの深いところの構造から出現した動きとなる。



あとから判る氷山モデル


人口減少の事例の氷山モデルは、簡単に書けません。

この点、S-02 氷山モデル~Aさんの風邪ひきの事例とはおおきな違いです。


こういった場合は、時系列変化パターンとストックとフローを先に求めて、あとから氷山モデルをつくり上げることができます。(図3)


fig-3
図3-システム思考のツールと概念 システム思考では、課題を「氷山モデル」「時系列変化パターン」「ストックとフロー」で関連付けながら見える化していく。
  1. として見える現在の人口 時系列変化パターンの現在の人口 =水槽のストック(人口)

  2. 氷山モデルの行動パターン =時系列変化パターンの10年前~現在~5年後の人口

  3. 氷山モデルの構造 =水槽のインフロー(人口増数)とアウトフロー(人口減数) ループ図(※)でインフロー(人口増数)とアウトフロー(人口減数)の因果関係を明らかにする (※ブログ08にて)


このように、氷山モデルと時系列変化パターンと水槽モデルを関連付けてイメージすることで、より本質に迫った深みのある課題設定ができます。


具体的には、水槽モデルのフローに相当する、よくする力と悪くする力を適切に把握することで、システムの診断図となるループ図(ブログ08にて)へとつながっていきます。



まとめ

いままで見てきたシステム思考の見える化ツールは単独でも使えますが、それぞれの関連を知っておくと課題の理解に役立つでしょう。

  • 氷山モデルは、表面的な課題から深いところにある本質的な課題まで、課題設定の視野を拡げる助けとなります。 (ブログS-02,ブログS-03にて)

  • システム思考では、 問題となる現象は、よくする力と悪くする力の組み合わせで決まってくると考えます。・・水槽モデルの「フローとストック」(ブログS-04にて)

  • 時系列変化パターンは、課題設定を見える化し誰とも共有できるツールです。着目すべきことを、増えたり減ったりする変数として、過去~現在~未来の時間軸であらわし、「いまのままなら将来こうなってしまう、目標としてこうしたい」と定量的なイメージで見える化し、課題設定を共有します。(ブログS-06にて)


Noriaki Gentsu@NorthQuest


 

参考文献:

なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎

システム思考教本 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎

世界はシステムで動く 英治出版 ドネラ・H・メドウズ、枝廣淳子訳

 

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